育休明けで仕事に復帰する場合、多くの方が時短勤務になると思います。
多くの場合は勤務時間が減る=給料も減るということに。
家族が増えて、お金もかかるのに給料は減るなんて辛すぎる
そんな、育休明けでお給料が減ってしまう人が申請しておくと、手取りがアップする制度があるのでご紹介します。
育休明けは時短勤務などで給料が減ることが多い
一人目出産の場合などはとくに、出産前はフルタイムでバリバリ働いていたけど、子どもが生まれたから時短勤務に変更する・フルタイムだけど残業なしなど、以前より勤務時間が短くなる方が多いのではないでしょうか。
時短勤務でも以前と同じ給料が支給されるホワイト企業なら関係ないかもしれませんが、多くの会社は勤務時間に応じて給料もダウン。
仕事をしながら家事も育児も頑張ってとっても大変なのに、給料は以前よりダウンなんて、ちょっと嫌になっちゃいますよね。
復職後は育休前の給料を基準に社会保険料が決まる
時短で給料が少なくなっているのにプラスして、社会保険料は以前の高い給料を基準に引かれるから手取りはさらにダウンするって知ってますか?
社会保険料とは
毎月お給料から税金などが引かれて、実際にもらえる手取り額は、支給額よりもだいぶ低くなりますよね。
お給料から引かれる金額のうち「健康保険」「介護保険(40歳以上)」「厚生年金」「雇用保険」の料金のことを「社会保険料」といいます。
「健康保険」「介護保険(40歳以上)」「厚生年金」は標準報酬月額をもとに決められます。
標準報酬月額とは
標準報酬月額とは、ざっくり言うと毎年4月~6月の支給額(手当や交通費含む)の平均になります。
平均をもとに健康保険なら50等級、厚生年金なら31等級に分類されます。
また、都道府県ごとに社会保険料が異なり、等級と社会保険料は下記ホームページから簡単に確認できます。
育児休業明けの社会保険料は高い場合が多い
育休明けで復職する場合、時短勤務にしたり残業が減ったりで、出産前より給料が少なくなる方が多いですよね。
給料が減ってしまっても、社会保険料は産休前の標準報酬月額をもとに計算されます。
たとえば東京都勤務(40歳未満)の場合、給料ごとの保険料は下記の通り(平成31年3月時点)。
4月~6月の支給額の平均が300,000円なら標準報酬月額は300,000円
健康保険 | 14,850円 |
---|---|
厚生年金 | 27,450円 |
合計 | 42,300円 |
4月~6月の支給額の平均が230,000円なら標準報酬月額は220,000円
健康保険 | 10,890円 |
---|---|
厚生年金 | 20,130円 |
合計 | 31,020円 |
産休前の支給額が30万円で、復帰後の支給額が23万円に減った場合、何も手続きをしなければ標準報酬月額300,000円となります。
毎月の保険料は42,300円なので、本来よりも1万円以上高くなってしまいます。
「育児休業等終了時改定」を利用すれば標準報酬月額を下げてもらえる
復職して何も手続きをしなければ、そのまま高い社会保険料が天引きされます。
しかし、「育児休業等終了時改定」という制度を利用する事によって、復帰後の給料に対する社会保険料に変更してもらうことが出来ます。
育休終了日に満3歳未満の子を養育している被保険者は、次の条件を満たす場合、育児休業終了日の翌日が属する月以後3か月間に受けた報酬の平均額に基づき、4か月目の標準報酬月額から改定することができます。
- これまでの標準報酬月額と改定後の標準報酬月額との間に1等級以上の差が生じること。(変わらない場合、あがる場合は意味なし)
- 育児休業終了日の翌日が属する月以後3か月のうち、少なくとも1か月における支払基礎日数が17日以上であること。
要するに、3歳未満の子どもがいて、育休から復帰して給料ダウンする人は、「復帰後4ヶ月目から標準報酬月額を下げますよ」ってこと
この制度を利用すると3ヶ月だけ高い社会保険料を頑張って支払えば、4ヶ月目からは適正な社会保険料に改定されます。
例)月末締め、翌月払いの会社で、4/1に復職した場合
4月に支給される給料は3/1~3/31分なので、支払基礎日数0日。
支払基礎日数17日を超えている5月と6月の支給額から、新たな標準報酬月額を算出。
7月の社会保険料は、翌月の8月に天引きされるので、8月の給料から手取りが増えます。
この制度を利用すると社会保険料の負担が減りますが、年金保険の支払額も減り、将来貰える年金も減ることになってしまいます。
そこで、もう一つ手続きしておきたいのが次の制度です。
「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」を利用すれば下がる前の給料で年金を計算してもらえる
「養育機関の従前標準報酬月額のみなし措置」を利用すれば、標準報酬月額が下がって支払う保険料が減っても、下がる前の標準報酬月額に対する年金保険料を支払ったとみなされます。
この制度は、3歳未満の子どもを養育する被保険者が、子どもが産まれる前より標準報酬月額が下がった場合に利用出来ます。
ポイントとなるのは、育休明けに限らず、給料(支給額)が減った理由は問わないということ。
3歳未満の子どもがいて、給料が下がった方ならパパでも利用出来ます。
「減給になった」「残業が減った」「交通費が減った」など理由は問いませんので、3歳未満の子がいる方は提出しておいて損はないでしょう。
また2年間は遡って申請できますので、申請を忘れていてもまだ間に合うかもしれません。
標準報酬月額の計算には「交通費」も含まれるので、異動などにより交通費が減った場合も対象となります。
必要書類と提出先
それぞれの制度の申請の際に必要な書類と提出先は下記の通りです。
必要書類は下記の日本年金機構のホームページから印刷出来ます。
育児休業等終了時改定のための必要書類
- 健康保険・厚生年金保険育児休業等終了時報酬月額変更届
養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置のための必要書類
- 厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書
- 戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書
(申出者と子の身分関係および子の生年月日を証明できるもの) - 住民票(個人番号の記載がないもの)
(申出者と子が同居していることを確認できるもの)
提出先
上記の書類を揃えたら、事業主(会社)へ速やかに提出しましょう。
事業主が日本年金機構へ提出し、手続き完了となります。
提出する部署は会社によって違いますので、会社に確認してみてください。
復帰後すぐに産休に入る場合は要検討
育休復帰後、働き続けるなら少しでも早く標準報酬月額が下がったほうがお得になりますが、復帰後すぐにまた産休に入る予定のある方は、「育児休業等終了時改定」を利用するかどうかはしっかりと検討したほうがいいかもしれません。
出産のために仕事を休んだときにもらえる「出産手当金」は、標準報酬月額をもとに算出されます。
手当をもらう場合は、標準報酬月額が高いほどもらえる金額も増えるので、すぐに産休に入る場合は育児休業等終了時改定を利用するかどうかは、計算して決めましょう。
復帰後大幅に給料が下がり、すぐに産休に入る人は制度利用が損になってしまう可能性が高いです。
この場合の「すぐ」とは、標準報酬月額が変わる翌9月(定時決定)より前を指します。
10月復帰、翌5月出産の人の例(4月より産休)
産休前の標準報酬月額30万、復帰後の標準報酬月額20万とすると
30万÷30日✕2/3✕98日=653,660円
20万÷30日✕2/3✕98日=435,708円
と場合によっては貰える金額が大幅に少なくなってしまう可能性があります。
復帰後間もなく産休に入る予定のある方は、手当の金額を計算してみましょう
まとめ|育休明けに簡単な書類を提出するだけで手取りがアップするかも!
時短勤務になって給料が減るのは仕方ないですが、少しでも手取り額は多いほうがいいですよね。
復帰するタイミングによっては、かなり手取り額を増やせることになるので必ず手続きしてくださいね!
制度について会社から案内してくれることもあるようですが、原則自分で手続きしなければなりません。
知らなかったー!
ではもったいないですから、忘れずに手続きをしましょう😊
私たちがやらなければならない手続きは、書類を揃えて会社へ提出するだけなので簡単ですよ。
復帰したら、すぐに提出しましょうね!
私の会社では、過去に提出したことがある人はいないようでした…😅(人事担当者もわかっていない)
コメント
はじめまして。初めてブログ拝見しました。同じく2人の子を持つワーママです。
今回ご紹介している制度は私の会社でも対象者に周知されていますが、適用するにあたってのデメリットも周知していただいています。
それは、適用となった後に取る産休、育休期間中の給付金については、改定後の標準報酬月額を基に計算されるため、受け取れる給付金額が下がることをリスクとして、対象者に判断させています。
今回の記事では、その点のご説明を含めていただくといいのではないでしょうか。僭越ながらコメントさせていただきました。
初めまして(^_^)コメントありがとうございます。
そうですね、育休復帰後すぐに産休に入られる場合は、標準報酬月額が下がると出産手当金は損してしまう可能性もありますね。
近日中にその旨追記しておきたいと思います。
ご指摘ありがとうございました(^^)
はじめまして(^^)
すごくわかりやすい説明をありがとうございます。
一つ気になったので、質問すみません…
もし復帰後すぐ産休に入る場合下がってしまい損をするということなんですが、
すぐというのは申請を行った後3年以内(一人目子どもが3歳未満)に二人目を妊娠し産休に入る場合ってことでしょうか?
コメントありがとうございます(^^)
この場合のすぐというのは、「定時決定で標準報酬月額が変わる前」を指します。
通常ですと、毎年9月に標準報酬月額が変更となりますので、それより前に再び産休に入られる場合は、申請しない方が良いと思われます。
例)
10月に復職して、5月から産休なら申請しない方が良い。(給料が一回目の産休前より下がっている場合)
このような説明でご理解いただけますでしょうか?
理解できました☆
ありがとうございます。
ちなみにもし5月から復帰して上記申請したとします。8月で時短からフルへ戻し、来年3月から産休に入る場合、出産手当金や育休手当金は産休前の6ヶ月(9月から2月)支給額面の平均で計算されるのでしょうか?
それとも減額を申請しているため、手当金は少なくなりますか?
5月から復職した場合、申請してもしなくても、標準報酬月額は時短の給料に応じた額に下がります。
(申請した場合は8月から、しない場合は9月から標準報酬月額が変わります)
3月から産休だと、支給開始日以前12ヶ月(前年3月〜2月)の標準報酬月額の平均額から算出します。
申請しない場合の平均額=【3月〜8月の標準報酬月額(産休前の金額)+9月〜2月の標準報酬月額(時短の金額)】÷12
8月からフルに戻すなら出産手当金の金額は
3月から産休の場合<来年の10月以降から産休の場合
となります。
育児休業給付金は、育児休業開始前6ヶ月の給料から計算されるので、制度の利用は影響しません。
こんな感じでわかりますか?
「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」についてですが、申請後に標準報酬月額が上がってしまった場合は、高い方の金額で年金額を算出してもらえるのでしょうか?
こちらの制度は標準報酬月額が下がってしまった場合の救済措置となります。
上がった場合は通常通り、それに応じた保険料になるので、もらえる年金も支払った保険料に応じて上がります。
はじめまして。サイト大変参考になりました。
あずきさんの質問に追加して
復職後、産休までの間で妊娠悪阻や切迫早産などで入院した場合はどうるのでしょうか。その期間は傷病手当を利用しようと思ってます。
例えば、あずきさんの質問のように
5月に復職
3月から産休
①その前の1月から切迫早産のため入院
②9月に妊娠悪阻のため1ヶ月入院
私が、一人目が切迫早産で二人目も切迫早産の可能性が高く、高齢出産のため一人目育休中に妊娠できればいいのですがそう上手くいかないと思うので、一旦復職予定です。いろいろ調べているうちにこちらのサイトを拝見しました。制度を利用することで、傷病手当や出産手当金に影響はあるのでしょうか。
傷病手当を利用した場合、育児手当への影響はありますか?
コメントありがとうございます。
返信が遅くなり大変申し訳ありません。
ご提示頂いた例ですと、おそらく制度を利用しなくても定時決定によって9月から標準報酬月額が変更になると思います。
ですので、利用してもしなくても傷病手当金や出産手当金は変わらないはずです。
詳細はわからないので、職場の給与担当者等にご確認ただけますと幸いです。
はじめまして!
私は10月後半復帰で3月後半からまた産休にはいるんですが、申請の方はしないほうがよろしいですかね??(><)
復帰はフルタイムで復帰する予定なんですが、前の育休手当、産休手当より手当すくなくならないにはどうしたらよろしいですか??
はじめまして^^
3月から産休に入られるようでしたら、育児休業等終了時改定は利用しない方がよろしいかと思います。
年金の養育特例は申請しておいたほうが良いかと思います。
手当を少なくならないようにするには、1回目の産休前と同額以上の給料を稼げば大丈夫かと思います。
(重複しているためもう一つのコメントは削除させていただきました)