標準報酬月額とは、サラリーマンなど雇用されて働く人が支払う「社会保険料」などを計算する際に基準となる金額のこと。
働いているときは標準報酬月額なんて意識することはないと思いますが、どういった制度か正しく知っておくことで手取り収入を増やすことが出来ます。
この記事では、社会人なら知っておきたい「標準報酬月額」について、わかりやすく解説します。
標準報酬月額とは
標準報酬月額とは、会社員が給与から天引きされている
- 健康保険料
- 介護保険料
- 厚生年金保険料
などの、「社会保険料」を計算する際に利用する基準額のこと。
標準報酬月額は、毎年4月〜6月の給与の平均をもとに計算し、同年9月〜翌年8月まで適用されます。
健康保険は50等級、厚生年金は31等級に分類されます。
標準報酬月額の計算に含まれるもの
標準報酬月額の計算には、下記のような会社から支給されるものはすべて含みます。
- 基本給
- 役職手当
- 残業手当
- 扶養手当
- 住宅手当
- 交通費
また、現金でなくとも現物支給される通勤定期なども対象となります。
4〜6月の働き方次第で標準報酬月額がかわる
上記の通り、標準報酬月額は4〜6月の給与で決まります(定時決定)。
月末締め翌月払いの会社であれば、3月〜5月の働き方が標準報酬月額に影響します。
この期間内の残業が多ければ、標準報酬月額が高くなり、社会保険料の金額も上がります。
逆に、この期間の残業をセーブすることができれば、標準報酬月額は低くなります。
標準報酬月額を下げることができれば、社会保険料も下がり手取り収入を増やすことが出来ます。
標準報酬月額が影響を与えるもの
上記で説明したとおり、
- 健康保険料
- 介護保険料
- 厚生年金保険料
は標準報酬月額により決定します。
これらは給与から支払うものなので、標準報酬月額が低いほうが負担も減らすことが出来ます。
支払う社会保険料という意味では、標準報酬月額をなるべく下げられるようにしたいですね。
逆に
- 傷病手当金
- 出産手当金
など、働けない期間にもらえるお金も標準報酬月額を基準に支給額が決まります。
通常なら4〜6月の給与は抑えるようにするほうがお得ですが、産休を取得することが決まっている場合などは、4〜6月の給与を増やすことで、手当金の支給額も増やすことが出来ます。
標準報酬月額の調べ方・計算方法
普通に働いているときに標準報酬月額なんて調べませんよね。
標準報酬月額の調べ方としては、下記の3とおり。
給与明細で標準報酬月額を確認する方法
会社によっては、給与明細に標準報酬月額が記載されている場合があります。
まずは給与明細に記載されていないか確認してみましょう。
記載がない場合は、次の手順で確認してください。
社会保険料から標準報酬月額を逆算する方法
給与明細を見ると
- 健康保険料
- 介護保険料(40歳以上)
- 厚生年金保険料
が天引きされていますよね。
この金額を標準報酬月額表の保険料の欄と照らし合わせることで、標準報酬月額を知ることが出来ます。
4〜6月の給与から標準報酬月額を計算する方法
4月から6月の給与(支給額)を合算して3で割ります。
- 4月:223,000円
- 5月:256,000円
- 6月:242,000円
の場合、
(223,000円+256,000円+242,000円)÷3=240,333円
そして、この金額を標準報酬月額表の報酬月額の欄と照らし合わせることで、標準報酬月額を調べることが出来ます。
上記の例の場合、東京都だと標準報酬月額は240,000円になります。
標準報酬月額が変わるタイミング
通常、標準報酬月額は4〜6月の給与をもとに決定しますが、下記条件を満たす場合は随時標準報酬月額が変更されます。
固定賃金が変動した場合は、標準報酬月額を改定される
昇格などで固定賃金が変動し、連続した3ヵ月間に受けた報酬の平均月額が2等級以上変わる場合は、標準報酬月額を改定されます(随時決定)。
育休明けで職場復帰後給与が減る場合も、標準報酬月額を改定できる
育児休業明けで職場復帰し、3ヶ月間の報酬の平均額が復帰前の標準報酬月額より1等級以上の差がある場合、標準報酬月額を改定することが出来ます(育児休業等終了時改定)。
育休明けの場合、給与が減る方が大半ですので、この制度を利用することで手取り額を増やすことが出来ます。
まとめ|標準報酬月額を理解すれば手取り額を増やせる
毎日の仕事に精一杯で、標準報酬月額なんて気にすることはあまりないですよね。
でも、標準報酬月額を理解することで社会保険料の負担を減らし、手取り額を増やすことだって可能です。
世の中にはいろいろな制度がありますが、知らないと損なことがたくさんあります。
ぜひ、自分からいろんな制度を知り、制度を味方につけましょう。
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